キャリアコンサルタントが明かす、派遣という働き方のメリットデメリット～人材派遣会社の実態～

私は現在、技術者系の大手人材派遣会社でキャリアアドバイザーをしています。
日々、様々な就業先で働く派遣社員さんたちの悩みを聴き、相談に乗っています。
そんな中で、派遣社員として働くに当たって心に留めておいてほしいことを紹介させていただきます。

派遣社員には正社員型と登録型がある
派遣社員の活用は増えている
派遣社員に出世はない。出世を求めるなら派遣就業はダメ！
派遣社員になる際には、給与交渉を必ずすること！
派遣社員は、お金や名誉に欲がない人向き！
人生の成功のために派遣社員をステップのひとつとして活用！
派遣は利用するもの！利用されてはいけません！！

派遣社員には正社員型と登録型がある

派遣社員といっても、派遣会社に正社員として所属するタイプとそうでないタイプ（登録型）があります。

正社員型のタイプは、まさにその派遣会社の正社員です。
そのため、就業先（派遣先）が見つからなくて自宅で待機中の間も派遣会社から給与が支払われます。
また、法律上の派遣期間の制限（同部署3年）がなく、派遣先がOKであれば定年まで派遣契約を更新（続ける）することも可能です。

登録型のタイプの場合は、就業先で働いている間のみの給与となり、また、法律上の派遣期間の制限（同部署3年）があるため、本人が満足して頑張っていても継続した就業が難しいといえます。
世の中でよく言われる「派遣切り」など、派遣社員の雇用の安定の難しさ（派遣切り＝無職）は、このタイプのことを指しています。

派遣社員の活用は増えている

従来は大手企業といえば、正社員採用でかつ終身雇用が当たり前でしたが、現在では終身雇用制度は崩れ、各大手企業は競うようにリストラ、早期退職を実施しています。
そのため、リストラで減った働き手を補うため派遣社員を活用する企業が増えています。
今では派遣社員の採用をしていない企業のほうが珍しいのではないでしょうか。

派遣社員に出世はない。出世を求めるなら派遣就業はダメ！

派遣社員を選ぶなら、将来の出世は難しいです。就業先（派遣先）で仕事を評価され指導的な仕事を任されることはありますが、責任者にはなれません。派遣社員は所詮、外部の人なのです。
重要な会議には参加不可だったり、正社員の人がいないとひとりで残業ができなかったり、実験データの報告書類は作成してもサインするのは正社員だったりと、派遣社員は正社員の補助であるというポジションです。

仕事ぶりを認められて、正社員として迎え入れを提案された場合は、喜んで正社員になってしまいましょう。
（ただし、給与や待遇、福利厚生などの条件面での確認検討は必要です）

また、まれに派遣会社の正社員（管理側）になれることもありますが、これも人材派遣の営業などの仕事を経験する必要が出てきたりします。

派遣社員になる際には、給与交渉を必ずすること！

正社員採用の終身雇用の大企業などでは、中途入社であっても給与制度がしっかりしているため、給与の交渉などしなくても、前職の給与や年齢、経歴などから、ルールに則って給与が決定されます。

しかし、人材派遣会社にはそんなしっかりとした給与制度や待遇のルールはありません。
若い20代の採用担当者が、自己判断で決定することも少なくありません。
採用面接だからと緊張して黙っていると、皆さんの能力を理解もせず、安い給与にされてしまいますので注意してください。

特に、住宅補助やマイカー通勤の際の高速代負担など、も同じ条件なのにもらっている人ともらっていない人がいます。まさに「言った者勝ち」という感じです。

派遣社員は、お金や名誉に欲がない人向き！

派遣社員の方々の悩み相談で一番多いのが、給与が低い！ということ。

そりゃそうですよ。雇用契約の仲介として余分に1社が利益を得ている訳ですから、派遣先の企業が多額の契約金を払っていたとしても本人に反映されるのはわずかです。

派遣社員として頑張って働けば働くほど、自身の貢献に対する対価（給与）が低いと感じてくるでしょう。

他者からの評価を喜びと感じる人が多数います。派遣社員には昇格というものがないため、他者からの評価＝給与と感じるのです。
そのため、給与不満で退社する方が多いのが現実です。
夫婦の片方が高給取りだったり、実家を継いでいて暇つぶしや世間との関わりのために働きたいという方には派遣社員はピッタリかもしれませんね。